生まれたばかりの赤ちゃんのお口には,ムシ歯菌(MS菌)や、歯周病の原因菌は存在しません。
菌たちは、ご両親や、ご家族のお口からやってきて、定着していきます。
スプーンやお箸を親子で共有したり、食べ物を噛み砕いて子どもに与える「噛み与え」など(最近では減りましたが)が、主な感染経路になります。
感染して定着する時期は、実は歯が生えそろう前から始まります。
「生後19 ~31カ月(およそ1歳半~2歳半)」はMS 菌に感染しやすい時期としてよく知られ、この時期は「感染の窓」と呼ばれています。
Soderling 2000、Thorild 2003 など
特に、2歳前に感染すると、その後に発症するムシ歯は重症化するといわれています。
また、歯周病の原因菌に関しても、同様です。
ムシ歯の感染と同様に、歯周病のリスクの高いご両親からは、その菌がうつり、定着すると言われています。
木村ら 2014
この、「母子感染」の対策は、以下に挙げられます。
1.うつらないように、予防する
2.定着する時期をできるだけ遅らせる
3.子供のお口へ入っても、定着しにくい善玉菌にする
まずは、お子さんに菌が移動しないよう、スプーンやお箸は別にするようにしましょう。
コップなど、お口をつけるものも、同様です。
また、お口とお口のキスも、感染の経路となります。
菌はお口に入っただけでは、問題になりません。
定着し、そこに留まり続けることで、将来的なムシ歯や歯周病を引き起こします。
そのため、食後の歯磨きをしっかりとしたり、菌の栄養となる砂糖の使用を制限したりすると良いでしょう。
それでも、親子のスキンシップや楽しい食事は、何にも変えがたい大切なものです。
あまり気にしすぎて、親子の接触が少なくなってしまってはいけません。
そこでオススメしているのは、ご両親のお口のクリーニング。
また、ご両親のみならず、ご家族みなさんのお口の環境を整えることで、この感染はずっと減らすことができます。
また、親がキシリトールガムを噛むことで、子どものムシ菌が減ったという研究もあります。
Thorild 2003
子どものお口の健康を守っていくには、ご家族みなさんでの取り組みが必要です。
まずは、ご家族のお口の環境を整えて、お子さまを迎えてあげましょう!