実は、要介護の方々のお口の中は、想像よりもはるかに環境が悪くなっているかもしれません。
要介護認定者の口腔清掃の自立度を調査したいわき市の研究では、調査人数1799名中49%に問題がありました。
介護度別割合では、介護度3の方で76%、介護度4の方で93%、介護度5の方で97%に問題がありました。
しかしその反面、介護認定審査会に提出された主治医の意見書では、「訪問歯科診療の必要性」は4%と低く、1年後の追加調査ではさらに2%に低下していたとのことです。
これは少し古い研究ではありますが、現在でも口腔清掃の自立度と、訪問歯科診療の利用頻度にはギャップがあるのだと考えられます。
介護度が高くなると、専門的な口腔ケアが必須になってくると言えるでしょう。
「食介護」という言葉があります。
食べる側の目線で、食材の見直しから摂食・嚥下までを医学的見地から支援し、生涯口から美味しく食べるための食事介助法のこと。
「口にはほとんどの幸福と不幸が集中する」と言われます。
「健康寿命」を伸ばすためにも、お口の環境を整え続けることはとても大切だと言えます。
さまざまな職種が連携して食環境を包括的に支援することが必要です。
ぜひ、問題のない時から、いつまでも口から美味しく食べられるよう、取り組んでいってあげましょう。
[参考] 「訪問歯科診療で活用する食介護の知識と実践」(2007)