前回、「親知らずは抜かなきゃいけないの?」
という疑問にお答えしましたが、
いざ実際に、「抜こう!」となった時、
不安なことだらけではないでしょうか?
今回は、そんな不安をできるだけ取り除くべく、
親知らずの抜歯の情報をお伝えしていきます!
「親知らずの抜歯」と言っても、
部位、生え方で、抜歯の難度は大きく違います。
まっすぐ生えている場合
特に上の親知らずの場合、
比較的容易に抜けてくれることが多く
抜歯後に問題を起こすことも少ないです。[1]
下の親知らずは、上に比べると
骨が固いのですが、
上と同様に比較的容易なことが多いです。
それぞれ、数分〜30分で行われることが多いでしょう。
親知らずが横を向いて生えている場合、埋まっている場合
この場合、まっすぐ抜くことができないため、
歯を分割して抜くことが大半です。
この場合が、いわゆる
「親知らずを抜くのが大変」というもので、
抜歯後に腫れたり、痛んだりすることが起きえます。
抜歯には、30分〜1・2時間かかることもあります。
埋まっている親知らずを抜く場合、
当日ではなく、翌日腫れてきます。
24〜48時間後がピークに腫れます。
(もちろん埋まり方にもよりますが)
場合によりますが、
人から見て「なんか腫れてない?」と
思われるくらいには、腫れます。
4日目ごろから、徐々に治まってきます。
痛むのは、麻酔が2〜3時間で切れた後ですが、
痛み止めが効かないほどの
痛みが出ることは、少ないです。
痛みが出たとしても、2〜3日痛み止めを飲んで
様子を見る程度が大半で、
1週間たっても痛みが消えないことは少ないです。
(その場合、術後の感染など、他の原因が考えられます。)
埋まり方にもよりますが、
片側の親知らずだけを抜く場合
外来(日帰り)で抜くことがほとんどです。
片側の上下の抜歯も、外来で行われます。
しかし、左右の埋まっている親知らずを
同時に抜く場合などは、
入院が必要な場合もあります。
下の埋まっている親知らずを抜くときに
気をつけるべきことの一つに、
「顎の中の神経」があります。
歯を抜くときに、この神経に影響が及んでしまうと、
抜歯後に「下唇の半分にしびれ」が残る可能性があります。
埋まり方によっては、「CT」という3次元のレントゲンを撮って
詳しく調べてから抜歯することが必要です。
また、その他に
「抜歯後感染」「血が止まらない」「ドライソケット(治癒不全)」「周囲の骨折」
などが挙げられますが、
正確な診査のうえ行われれば
それぞれ頻度は低いと言えます。[2]
いかがでしたでしょうか。
親知らずの抜歯は、
生えている状況、埋まり方、
によって大きく難易度が変わってきます。
しかし、適切な診査を行った上で望めば、
大きな心配はありません。
まずは、歯医者さんで、
自分の生え方では
「どれくらいのリスクがあるのか」
「どんな選択肢があるのか」
相談してみてくださいね!
[1] Christiaens I, Reychler H.(2002) Complications after third molar extractions: retrospective analysis of 1,213 teeth. Rev Stomatol Chir Maxillofac.Nov;103(5):269-74.
[2] Jerjes W, El-Maaytah M, Swinson B, Banu B, Upile T, D'Sa S, Al-Khawalde M, Chaib B, Hopper C. (2006) Experience versus complication rate in third molar surgery. Head Face Med. May 25;2:14.