【歯ブラシ】歯医者さんが伝える、正しい歯ブラシの選び方 その①

 

みなさん、歯ブラシはどのように選んでいますか?

薬局やスーパーには、見るだけで選ぶのをやめてしまいたくなるほど

たくさんの種類の歯ブラシが陳列されています。

 

そんな歯ブラシの選び方を、歯医者さんの目線で提案していこうと思います!

まず今回は、「どの商品がいいのか」よりも

「歯ブラシ自体」の選択基準を、マニアックに解説していきます!笑

 

厚労省も、提案しているんです


 

実は、日本の厚生労働省も、歯ブラシの選択について提言をしているんです。[1]

その内容は、要約すると:

  • 年齢と用途に応じた歯ブラシを選ぶ
  • 刷毛(ブラシ)は乾燥しやすく、適当な強度と弾性をもつ
  • 刷毛(ブラシ)の長さは、小児用を除き、10mm前後
  • 刷毛(ブラシ)の短辺(横幅)は、10mm以下、長辺(縦幅)は30mm以下が望ましい

…ちょっと抽象的すぎますよね。

さぁ、実際の研究や論文に基づいて、詳しく見ていきましょう!

 

毛の種類は、大きく分けて2種類


 

毛の種類には

  • 豚毛
  • ナイロン毛

の2種類があります。

研究では、ナイロン毛歯ブラシの方が豚毛歯ブラシよりも、汚れの除去率が高いとされています。[2]

 (なお、ナイロン毛の中では、ポリエチレン樹 脂・ポリプロピレン樹脂・アクリロニトリルースチレン樹脂の間に差はなかったとの報告があります [3]

 

毛先の種類は、大きく分けて2種類


 

 

毛先の種類は

  • ラウンドエンド
  • テーパード

という2種類があります。

最近では、この先細りの「テーパード」が多く作られるようになってきました。

 

研究では、「両者に汚れを落とす能力は大きな差がない」と結論されていますが、

「ラウンドエンド」より「テーパード」の方が、歯ぐきの炎症の改善には若干有利なようです。[4]

 

ヘッド部のデザインは、どれがいいの?


 

 

さて、一番種類が多くて困ってしまうのが、「ヘッド部のデザイン」。

研究では、「どのブラシのデザインが優れているかの明確な優劣はなかった」と結論づけられています。[5, 6]

 

 

最近では、ヘッド部が薄い歯ブラシも作られ、奥歯の汚れがより多く取れるといった研究結果もあります。[7]

しかし、主に海外では、ヘッド部の大きいものが好まれ [8]

近年は日本でも、効率の良さからヘッド部の大きな商品のシェアが高くなっています。

 

しかし、結局は、磨き方!?


 

 

これを言っては元も子もないのですが、ある研究によると

「ブラッシング技術の違いによる優劣ほど、

歯ブラシのデザインの違いによる汚れの落ち方の優劣は認められなかった」

とのこと。[9]

自分にあった歯ブラシで、磨き方を工夫することが大切と言えますね。

 

まとめ


 

いかがでしたでしょうか。

さて、今回は歯ブラシについて、「エビデンス」を元に解説してきました。

あまりにマニアックで、付いてこれなかったのではないでしょうか!?笑

 

次回は、歯医者さん達が実際にどんな歯ブラシをオススメしているのか、もっと具体的にご紹介していきますね!

 

 

[1]  厚生省 歯口清掃指導の手引き (2009)

[2] 鈴木 丈一郎, 渡辺 孝章, 渡辺 一郎, 他 (1987) スクラッビング法における種々の歯ブラシの歯垢除去効果とブラッシング圧に関する研究(第3報) 豚毛歯ブラシとナイロン毛歯ブラシについて. 日本歯周病学会会誌 29(3):909-918.

[3] 東海林 良彦, 谷下田 昭夫, 福島 将人, 他 (1988) スクラッビング法における種々の歯ブラシのプラーク除去効果とブラッシング圧に関する研究(第4報) 柄の弾力性と毛の直径の異なるナイロン毛歯ブラシについて. 日本歯周病学会会誌 30(2):566-575.

[4] Hoogteijling F et al (2018) The effect of tapered toothbrush filaments compared to end-rounded filaments on dental plaque, gingivitis and gingival abrasion: a systematic review and meta-analysis. Int J Dent Hyg. Feb;16(1):3-12

[5] Claydon N, Addy M. (1996) Comparative single-use plaque removal by toothbrushes of different designs. J Clin Periodontol. 23(12):1112-6.

[6] Staudt CB, Kinzel S, Hassfeld S, Stein W, Staehle HJ, Dörfer CE. (2001) Computer-based intraoral image analysis of the clinical plaque removing capacity of 3 manual toothbrushes. J Clin Periodontol. 28(8):746-52

[7] 金丸 直史, 森口 純, 蜂須賀 良祐, 小林 利彰, 柴崎 顕一郎, 下村 義弘 (2014) 極薄ヘッド・極細ネック歯ブラシの最後臼歯への到達性および最後臼歯のプラーク除去効果. 口腔衛生学会雑誌 64(5):392-400.

[8] Sharma NC, Qaqish J, Walters PA, Grender J, Biesbrock AR. (2010) A clinical evaluation of the plaque removal efficacy of five manual toothbrushes. J Clin Dent. 21(1):8-12.

[9] Staudt CB, Kinzel S, Hassfeld S, Stein W, Staehle HJ, Dörfer CE. (2001) Computer-based intraoral image analysis of the clinical plaque removing capacity of 3 manual toothbrushes. J Clin Periodontol. 28(8):746-52.