ムシ歯や歯周病は、
バイキン(細菌)によって引き起こされる
「感染症」です。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口には、
細菌はいません。
成長する中で
お父さんお母さんや、
外の環境からお口に細菌が入り、
定着していきます。
そんなムシ歯や歯周病を引き起こす細菌。
実は、たくさんの種類があるんです。
*この先、細菌の顕微鏡画像など出てきます。お嫌いな方は閲覧をご遠慮ください。
1.レンサ球菌
丸い粒が連なったような形からこう呼ばれています。
お口の多く生息し
甘い物に反応して
「酸」を出します。
その「酸」が歯を溶かし
ムシ歯になるのです。
・S.mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)
中でも、代表的なのがこちら。
もっとも古くに発見された原因菌であり、
ムシ歯に強い関連性があると言われています。
[1]
2.乳酸桿菌(ラクトバチラス)
長細い棒状の菌を
「桿菌」と呼びます。
実際にムシ歯が進行しているところから
検出されます。
[2]
① P.gingivalis (P.g菌)
空気の嫌いな菌。
歯周病の原因菌で、
歯ぐきの奥から検出されます。
健常な人からは
ほとんど検出されません。
[3]
② T.denticola(T.d菌)
「スピロヘータ」と言われ種類で、
ヘビのようにニョロニョロ動きます。
歯周病の部位から多く検出され、
歯周病の活動度や、
重症度と関連しています。
[4]
③ T.forsythia(T.f菌)
小さいうちは丸く、
成長すると先の尖った棒状になります。
歯周病によって
組織が破壊された所に
多く検出されます。
検出されると、
歯周病が難治性(治りにくい)だと考えられます。
[5]
①〜③までの菌を
「レッドコンプレックス」と呼び、
歯周病の状態において
非常に悪さをする菌だと考えられています。[6]
④A. actinomycetemcomitans(A.a菌)
小さな球形の菌。
健康なお口からはあまり検出されないと言われています。
[7]
一口に「ムシ歯・歯周病の菌」と言っても
実は多くの種類があります。
まだまだ研究が進められている菌もあり、
今回ご紹介したのは、研究の進んでいる代表的な菌たちです。
人のお口には多くの菌が住んでおり、
良い菌と悪い菌がいます。
今回ご紹介したような菌が減り、
良い菌が増えることで、お口の病気のリスクが下がります。
そのために、クリーニングや、バイオセラピーなどが効果的だと言えます。
ぜひ、歯医者さんに詳しい相談もしてみてくださいね!
[1] Spontaneous detachment of Streptococcus mutans biofilm by synergistic effect between zwitterion and sugar alcohol. Jong Hyun Lim et al. Sci Rep. 2017; 7: 8107.
[2] Detection and Physicochemical Characterization of Membrane Vesicles (MVs) of Lactobacillus reuteri DSM 17938. Rossella Grande et al. Front Microbiol. 2017; 8: 1040.
[3] Porphyromonas gingivalis and Treponema denticola Synergistic Polymicrobial Biofilm Development. Ying Zhu et al. PLoS One. 2013; 8(8): e71727.
[4] Polar adhesion of Treponema denticola on wettability gradient surfaces. Richard P et al. Colloids and Surfaces B: Biointerfaces. Vol 11, Issue 4, 15 July 1998, 177-186
[5] N-Acetylmuramic Acid (MurNAc) Auxotrophy of the Oral Pathogen Tannerella forsythia: Characterization of a MurNAc Kinase and Analysis of Its Role in Cell Wall Metabolism. Hottmann I et al. Frontiers in Microbiology, 26 Jan 2018, 9:19
[6] Dental biofilms: difficult therapeutic targets. Socransky SS, Haffajee AD. Periodontol 2000. 2002;28:12-55.
[7] Effect of fluoride-containing gel on the roughness of a titanium surface and the promotion of bacterial growth. Sun-Jin Kim et al. J Dental Rehabilitation and Applied Science 2016;32(1):16-23