最近では、「フッ素」という言葉を耳にすることも増え、ご存知の方も多いと思います。
フッ素(フッ化物)には、ムシ歯の予防効果があり、直接塗ったり、ハミガキ粉に入れることでその効果を発揮します。
今回は、そのフッ素の効果について、学んでいきましょう。
大きく分けると、2つの作用があげられます。
歯の表面は、「脱灰(だっかい)」と「再石灰化(さいせっかいか)」ということをくりかえしています。
つまり、歯のごく表層は、自然に「溶ける」「固まる」を常にくりかえしているのです。
まず1つめは、フッ素がこの再石灰化、つまり「固まる」サイクルを早める、ということです。
もう1つは、歯の表面に「フルオロアパタイト」という強い結晶を作ることです。
また、ムシ歯菌に対する抗菌作用など、他にもいろいろな作用が合わさって、その効果をあらわします。
フッ素は、ハミガキ粉に入っていたり、歯医者さんで塗ってもらったり(フッ素塗布)、学校などでフッ素でうがいをしたり(フッ素洗口)して使用します。
フッ素入りハミガキ粉の虫歯予防効果は広く言われているところで[1]、日本など先進国では、市販のハミガキ粉のおよそ90%にフッ素が入っているとされています。[2]
おうちでフッ素の入ったハミガキ粉を使用しながら、歯医者さんで定期的にチェックをしてもらい、フッ素塗布をしていくとよいでしょう。
フッ素は,生えたての歯に対して使うのが効果的といわれています。
理由は、生えたての歯の表面には、フッ素がたくさん取り込まれるということ、
そして、歯が生えてから2~3年の間が一番ムシ歯になりやすいという理由からです。
そのため、こどもの歯が生えてきた頃、つまり1才前後から、歯医者さんに相談してみましょう。
フッ素塗布は、少なくとも年2回,できれば年3回~4回フッ素を塗ることが推められています。
フッ素は、「これさえ塗っておけばムシ歯にはならない!」といった、魔法の薬ではありません。
あくまでも、毎日のハミガキが最も大切で、フッ素はその補助的なものと考えるべきです。
フッ素は、世界的に確立された、安全性の高いムシ歯予防法といえますが、
一方、最近では様々な否定的な意見も飛び交っています。
「必ずやらなければいけないこと」ではありませんので、
歯医者さんに相談しながら、日頃のお手入れに加えて、必要に応じて行っていけるとよいでしょう。
1. Marinho VC et al (2003) Fluoride mouthrinses for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. (3):CD002284.
2. 2012年:ライオン(株)調査