約60%のお母さんたちが「役立った」とする、おしゃぶりは育児での重要なアイテムといえます。
でも、指しゃぶりがダメなのは何となくわかるけど、おしゃぶりはどうなの?
そんな悩みを持っている方も、多いのではないでしょうか。
今回は、そんな悩みを解決するために、おしゃぶりの欠点利点、正しい使い方についてお伝えします。
【利点】
精神的安定、すぐに泣き止む、入眠がスムーズ、母親のストレスが減る
【欠点】
習慣性となりやすく、長期的使用すると噛み合わせが悪くなる、子どもがどうして泣いているのかを考えないで使用する、あやすのが減る、ことば掛けが減る、ふれあいが減る、発語の機会が減る
などがあげられます。
おしゃぶりはなるべく使用しない方がいいですが、乳児の指しゃぶりは自然の行為であり、それに代わるおしゃぶり行為も当然となります。
しかし、おしゃぶりを1歳半まで使うと30%、2歳まで使うと60%、3歳まで使ったら100%のこどもに、歯並びの異常が見つかったと報告され、3歳までにやめることが勧められます。[1]
また、1歳半でおしゃぶりを使っていたこどもの方が、ムシ歯になりやすいとも報告されています。[2]
これらのことから、もし使用するのでしたら、次の点に気をつける必要があります。
1.言葉を覚える1歳過ぎからは常時使用せず、合計1時間以内におさめる。
2.おそくとも2歳半までには使用をやめる。
3.おしゃぶりを使用している間や指しゃぶりを防ぐためにも、声かけや一緒に手遊びをするなど子どもとのふれあいを大切にする。
4.4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。
日本小児歯科学会提言より一部抜粋
では、どんなおしゃぶりを使えば良いのでしょうか。
まず、おしゃぶりには【円筒型】と【楕円型】の二種類ありますが、円筒型は楕円型に比べ、歯並びが悪くなる可能性が高いと言われています。[1]
よって、楕円型のおしゃぶりを選ぶと良いでしょう。
1)Combi テテオ おしゃぶり スマイルナビ
小児歯科専門医監修で作られた楕円型おしゃぶり。
乳首の中まで洗えるのでより衛生的に使用できます。
2)NUK ジーニアス2.0(キャップ付き)/シリコーン
ドイツの歯学博士と共同開発された楕円型おしゃぶり。
乳首の先が柔らかく曲がりやすく、根元がうすいので赤ちゃんの口にフィットしやすい。
アメリカ小児科学会は、おしゃぶりは乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防として効果がある[3]、ということから、おしゃぶりを推奨する立場をとっています。
まだ詳しいことは研究中で分かっていませんが、海外では、おしゃぶりをオススメする流れがあるのは事実です。
しかし、残念ながら、おしゃぶりの宣伝に使用されている
「鼻呼吸や舌や顎の発達を促進する」
などは、現時点で学問的には検証されていません。
ですので、どのおしゃぶりを使用するにしても、先述の4つの項目を守っていただくことが大切になります。
乳児が指しゃぶりをすることも、その代わりにおしゃぶりを使用することも、成長過程において仕方のないことです。
成長に伴い、自然とやらなくなることも多いので、気にしすぎないようにし、使用する際はおしゃぶりに頼りすぎず、親子のふれあいを大切にしてくださいね!
1. 米津卓郎ら (2012) おしゃぶりが低年齢児の歯列弓形態に及ぼす影響について 小児歯科学雑誌 50(2) 274
2. Yonezu T, et al. (2006) Longitudinal study of prolonged breast- or bottle-feeding on dental caries in Japanese children. Bull Tokyo Dent Coll 47(4):157-60.
3. Li DK, et al. (2006) Use of a dummy (pacifier) during sleep and risk of sudden infant death syndrome (SIDS): population based case-control study. BMJ. 7;332:18-22.