こんにちは、歯科医師の長谷川です!
みなさんの中で、
朝起きたら「顎が疲れている」方はみえますか?
または、ご家族やご友人に
「歯ぎしりがうるさい!」
なんて言われたことがある方はみえますか?
今回は、
そんな「歯ぎしり」に注目して、
その対処法を考えていきましょう!
歯を左右にギリギリと
擦りあわせるように動かす癖が
「歯ぎしり(グラインディング)」と呼ばれます。
その他に、
歯を動かすことなく「食いしばる(クレンチング)」癖や、
カチカチと震えるように噛み合わせる癖(タッピング)などもあります。
これら全てをまとめて、
「歯ぎしり」
英語では、
「ブラキシズム」と呼びます。
そしてそれぞれ、
寝ている間の「睡眠時」、
起きている間の「覚醒時」
に分けられます。
歯ぎしりは、決してめずらしいことではありません。
統計では、
85〜90%の人が、
人生のうち
一度はしていると言われています。[1]
しかし、そのうち
痛みなどの症状が出るのは、
わずか5%とも言われています。[1]
大きな原因として、よくあげられるのが
「ストレス」。
しかし、実際には
「覚醒時の歯ぎしりは女性に多い」
などの統計も多くみられ、
原因ははっきりと分かっていないんです。[2]
噛み合わせが悪い時、
その悪い部分を自分で治そうと
無意識に動かすことが
歯ぎしりにつながっている、
など、少しずつ証明もされてきています。[3]
まずは、
・タバコ
・アルコール
・コーヒー
などの習慣を改善することが
防止に繋がると言われています。[4]
「マウスピース」や
「ナイトガード」と呼ばれる
夜間のマウスピースなどの
装置が有効とも言われています。[3]
ただし、マウスピースにも様々な種類があり、
単純な柔らかいタイプの装置では
逆効果な場合もあるため、
状況に合わせたものを、
歯医者さんに作ってもらってください。
他にも、
ボツリヌストキシン(ボトックス)が
有効との報告もありますが、[5]
まだ科学的には信頼性が低いと言えます。
こうして列挙してきましたが、実際には
確定的な治療法がないのも、現実です。[3]
さて、歯ぎしりとは、
特に寝ている間のものは
自分で治すことがとても難しいものです。
明らかに噛み合わせが狂っている場合など
調整することで治る場合もあるので
歯医者さんに相談すると良いでしょう。
また、顎に痛みや症状が出た時は、
処置が必要になることもあります。
(顎関節症については、前回の記事を参考にしてみてください)
是非、今回の記事を参考に、
ご不安なことは
歯医者さんに相談してみてくださいね!
[3] Reddy SV, Kumar MP, Sravanthi D, Mohsin AH, Anuhya V. (2014) Bruxism: a literature review. J Int Oral Health.Nov-Dec;6(6):105-9.
[1] Chicago, Illinois: American Academy of Sleep Medicine (2001) International Classification of Sleep Disorders, Revised: Diagnostic and Coding Manual. American Academy of Sleep Medicine.
[2] Shetty S, Pitti V, Satish Babu CL, Surendra Kumar GP, Deepthi BC. (2010) Bruxism: a literature review. J Indian Prosthodont Soc. Sep;10(3):141-8
[4] Murali RV, Rangarajan P, Mounissamy A. (2015) Bruxism: Conceptual discussion and review. J Pharm Bioallied Sci. Apr;7(Suppl 1):S265-70.
[5] An evidencebased review of botulinum toxin (Botox) applications in noncosmetic head and neck conditions (2013) Persaud R, Garas G, Silva S, Stamatoglou C, Chatrath P, Patel K. JRSM Short Rep.;4:10.