「インプラント治療」というと、どんなイメージでしょうか?
「値段が高い?」
「手術が痛い?」
「歴史が浅い?」
近年、テレビなどでもよく紹介され
身近な言葉になってきた「インプラント治療」。
今回は、その歴史と、
その成功率について見ていきましょう。
インプラント治療の歴史は、
はるか昔から試行錯誤が続けられています。
いわゆる「近代インプラント学」
つまり、科学的な学問としては
1941年、Dr.Dahlによって
スウェーデンから始まったと言われています。
その後も試行錯誤が繰り返されましたが、
1977年に、ブローネンマルク教授という先生が
「骨とチタンがくっつく」
ということを発見し[1]、
その後、現在の形のインプラントが主流となってきました。
つまり、現在のいわゆる「インプラントの歴史」というと
この頃から始まったと言えます。
そんな歴史の古いこの治療、
どんな成果をあげているのでしょうか。
「インプラントは費用が高い。
これだけ高いものだから一生ものだろう!」
という考えは、多くの方が持たれると思います。
しかし、あくまで金属の根っこ。
ご自身の歯に勝るわけはありません。
つまり、「歯周病で歯を失ってしまった」場合、
これまでと同じ生活習慣、お手入れをしていては
自分の歯と同様に、インプラントもまた失ってしまいます。
もちろん、きちんとした手入れをして、
できるだけ長く、しっかりと噛んでいきたい。
さて、これまでの歴史で、何年くらい
長く使えているのでしょうか。
1990年代ごろから、
それまでのインプラント治療の
成果について研究が活発に行われてきました。
それまでは、ある意味
「実験的」に行われてきたインプラント治療が
「科学的」にエビデンスを作る段階になってきました。
1990年代当時、
「2年間で89%が残存」[2]
「3年間で88%が残存」[3]
と言った研究が発表されていました。
2000年代に入ると
これが徐々に、
「5年間で95%[4]、91%[5]、90%[6]」
と言ったように、
徐々に成功率が高まってきました。
最近では、
10年後に残っているインプラントは
およそ90〜95%と言われています。[7]
逆に言えば、10本のうち1本は
10年後に抜けてしまっている
ということです。
歯を失ってしまった場所に
歯を補うインプンラント治療。
周りの歯を削らずに済む、など
そのメリットは計り知れません。
しかし、それでも
インプンラトの限界、というものもあります。
つまり、インプラント治療を
行った「あと」が大切ということです。
日頃のお手入れはもちろんのこと、
定期的に歯医者さんにチェックをしてもらうこと。
きちんと管理することが
長持ちする秘訣と言えます。
良い治療を受けた後は、
長持ちさせるためにも、
しっかりと管理をしていきましょう!
[1] Brånemark PI, Hansson BO, Adell R, Breine U, Lindström J, Hallén O, Ohman A. Osseointegrated implants in the treatment of the edentulous jaw. Experience from a 10-year period. Scand J Plast Reconstr Surg Suppl. 1977;16:1-132.
[2] Ahlqvist J, Borg K, Gunne J, Nilson H, Olsson M, Astrand P. Osseointegrated implants in edentulous jaws: a 2-year longitudinal study. Int J Oral Maxillofac Implants. 1990 Summer;5(2):155-63
[3]Gunne J, Astrand P, Ahlen K, Borg K, Olsson M. Implants in partially edentulous patients. A longitudinal study of bridges supported by both implants and natural teeth. Clin Oral Implants Res. 1992 Jun;3(2):49-56
[4] Behneke A, Behneke N, d'Hoedt B. The longitudinal clinical effectiveness of ITI solid-screw implants in partially edentulous patients: a 5-year follow-up report. Int J Oral Maxillofac Implants. 2000 Sep-Oct;15(5):633-45
[5] Chuang SK, Tian L, Wei LJ, Dodson TB. Kaplan-Meier analysis of dental implant survival: a strategy for estimating survival with clustered observations. J Dent Res. 2001 Nov;80(11):2016-20.
[6] Perry J, Lenchewski E. Clinical performance and 5-year retrospective evaluation of Frialit-2 implants. Int J Oral Maxillofac Implants. 2004 Nov-Dec;19(6):887-91.
[7] Hjalmarsson L, Gheisarifar M, Jemt T. A systematic review of survival of single implants as presented in longitudinal studies with a follow-up of at least 10 years. Eur J Oral Implantol. 2016;9 Suppl 1:S155-62.