「もうこの歯は、歯周病で抜くしかありません」
「でも、親から貰った大切な歯です。使える限り大切に使っていきましょう」
そんなことを、歯医者さんに言われたことはありませんか?
もしかしたら、
そんな状態の歯を残しておくことで、
取り返しのつかないことになることもあるんです。
歯周病というのは、
歯の周りの汚れによって起こる病気です。
汚れの中のバイキンが
歯を支える骨を溶かしてしまうため
進行すると
歯がグラグラになってしまいます。
この
「支える骨を溶かす」
というのが、大きな問題なのです。
歯を失ったあと、
歯を補う手段は
3種類に分けられます。
前回のお話でも話題になった
「インプラント」という治療法が
特に問題となってきます。
西欧諸国では
歯を失ったあとの治療法としては
「インプンラント」が第一選択となります。
しかし、その「インプラント」は
「骨に金属の根っこを植える」という治療。
つまり、周りに骨がないと
いけないのです。
ひとたび骨がなくなると
インプラント治療には
「骨を作る手術」が追加で必要になります。
通常、インプラントの治療は
3ヶ月程度かかるのが標準ですが
この骨を作る手術は
半年近い時間が追加で必要となることもあり
場合によっては治療自体が
不可能になることもありえます。
そのため、アメリカなどでは
支える骨が
根の長さの1/3程度溶けてしまったら
その時点で早めの抜歯をして
インプンラントをすることが正しいとされます。
また、入れ歯についても同様です。
支える歯ぐきが極度に痩せてしまうと
入れ歯が安定しないこともありえます。
つまり、「歯を失った後、その次のこと」を考えた上で
歯をいつまで残していくのかを
相談することが大切だといえます。
このような話をすると
「歯をむやみに抜くのはけしからん」
というイメージを持たれることもあります。
しかし、将来を見据えて
歯科医師と患者さんが
治療方針を一緒に相談していくことが
大切だと思います。
かつて、特に日本では、
「この歯は大事に使える限り使っていきましょう」
という考え方がほとんどでした。
もちろん、その通りですが
技術の進化とともに、
選択肢が広がることも確かです。
ぜひ、みなさまに
一番合った治療法を探していきましょう!