歯を抜くことになった?本当に抜かなきゃいけないの?歯を抜く基準とは!

「この歯は抜かなきゃいけないですね〜」

 

そんなことを言われた方はおりませんでしょうか?

 

本当にその歯は、抜かなければならないのでしょうか?

 

こんにちは、

名古屋市昭和区・千種区・天白区からも通いやすい

八事日赤の歯科医院(歯科・歯医者)たきかわの森歯科クリニックの歯科医師・長谷川です🌟

 

実は、歯を抜く基準は、

思ったより、それぞれの歯医者さんの考え方に依存しているのです。

 

でも、それではいけないので、

現代では、抜歯のエビデンス(科学的根拠)として、

さまざまな「論文」を元に、

抜歯を決めることが求められています。

 

今回は、エビデンスに基づき、

抜く判断をどうすれば良いのか、

というお話をしていきます。

 

 

抜歯をする理由には、どんな理由がある?


 

抜歯が必要になる原因は、

大きく分けて3つあります。

 

  1. 虫歯
  2. 歯周病
  3. 破折(折れた)

 

歯を失う原因は、それぞれ

「歯周病」(37%)

「むし歯」(29%)

「破折」(18%)

と言われています。[1]

 

1の虫歯の場合は、

歯ぐきの奥まで虫歯かどうかが、

大きな判断基準となります。

また、残った根っこと

治すべき歯の部分の比率(歯冠歯根比)が

大きな判断基準となります。

 

3の折れた場合は、

折れた場所により

抜歯が必要かどうかが決まります。

深いポケット(歯ぐきのダメージ)

がある場合は、抜歯が選択されることが多いといえます。

 

さて、ではもっとも歯を失う可能性の高い

歯周病について詳しく見ていきましょう。

 

歯周病でぐらぐら?抜く判断基準とは!


 

さて、今回は

この「歯周病」をメインに

お話ししていきます。

 

1991年に発表された論文が、[2]

その後の抜歯の基準に大きな影響を与えました。

 

つまり、歯の状態によって、

「Good」「Fair」「Poor」「Questionable」「Hopeless」

の5段階に分けて判断していく、というものです。

 

具体的には、「周りの組織の50%以上がダメージを受け」「歯と根っこの比率が悪くなり」「根の股の部分に歯周病があり(根分岐部病変)」「歯が1〜2mm以上ぐらぐらする」などが判断基準と言われました。

 

しかし、時代が流れ、

その判断基準が、実は8年後に、

「間違っていることも多くあった」

という結果が出たのです。

 

そこで、2007年に発表された論文では、[3]

「Favorable」「Questionable」「Unfavorable」「Hopeless」

の4段階に分けることが提唱されました。

 

また、その判断基準も、

歯自体の問題だけではなく、

「歯ぎしりなどの癖」「喫煙」「糖尿病」

など、全身的な要因も含まれたことが大きく違います。

 

また、「根の股の部分の歯周病(分岐部病変)」も、

絶対に抜かなければいけない、

ということではなくなってきました。

 

まとめ


 

このように、歯周病によって

抜かなければならないかどうかには、

さまざまな角度からの判断がもとられます。

 

歯科医師は、これらの全てを把握し、判断し、

患者さんに抜歯を提案すべきだと考えられます。

 

 

しかし、この中でも、実はもっとも重要な要素が、

「コンプライアンス(患者さんの協力度)」

そして

「ブラッシング(患者さん本人の歯磨き)」

と言われています。

 

このことを、歯科医師からはしっかりと伝えるべきであり、

患者さんにもしっかりと理解していただく。

これが、「なるべく歯を抜かない」ために、

もっとも大切なことだと言えます。

 

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[1]  第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書. 東京: 8020推進財団; 2018.

[2] McGuire MK J Periodontol. 1991 Jan;62(1):51-8

[3] Kwok V, Caton JG. J Periodontol. 2007 Nov;78(11):2063-71